園内にツバメの巣作りが始まった。交互に巣の手入れをして一羽が巣の中に
座り始めた。多分に卵を温め始めたのだろう。卵を21日間、温めるとヒナの誕生となる。と同時に小さな鳴き声も聞こえてくる。
一生懸命!生きようとするヒナの鳴き声を聞いているとつい「頑張れ~!」とエールを送りたくなる。
そうしているうちに二羽のツバメが交互にヒナの餌を探しにいく。まだ目も開いていないヒナは親ツバメが運んでくる餌に精一杯に身を乗り出して我先に餌をもらおうとする。
その甲斐あってヒナは丸々と太って、羽を広げては羽ばたきの練習をし始めた。
と!その時、大きな真っ黒い鳥がヒナをめがけて突進してきた。
あっ!という間の出来事だった。親ツバメが何度も何度も真っ黒い鳥に体当たりをしては宙返りをし、体当たりをしては宙返りをして追い払おうとしたが・・・真っ黒い鳥・・カラスは悠々自適でヒナを丸のみにしていった。
カラスが去った後には無残にもヒナの羽毛があたりに散らばっていた。
本当にあっという間の出来事だった。
弱肉強食というがまさにその通りだった。毎年、ツバメの子育てを見てきた。
「ツバメさん、凄いね」「お父さんと、お母さんがご飯を運んでくるんだよ」と話しながら巣立ちの時を子どもたちと一緒に見送ってきた。
ツバメは巣立って、一ヶ月余りをその巣の近くで過ごしてエサの取り方や、飛び方、天敵を避ける練習をして体力をつけて南の島に帰っていくという。
夜は巣に戻ってきてそこで寝て親と一緒に色々なことを経験していく。そのツバメが・・思った時・・私の心は張り裂けそうだった。弱肉強食と言えばそれまでだけだが・・その光景がまだ消えない・・私がいる。