下見を終えた帰り道に大きな、大きな鬼ゆりの花を見つけた。そういえば昔は松林の中にお墓があった。松の木に囲まれるようにしてお墓があった。石碑のような立派なお墓もあったがほとんどが盛り土(砂でちょっと丸くして押さえてその上に角材のようなものがたてられて何々家の墓と書かれていたような気がする)ちょうど夏が近づき、お盆の頃になるとその鬼ゆりの花がとても綺麗に咲く。花はオレンジ色に近く花弁に黒い斑点がくっきりとついている。お墓の周りに自生していたのかどうかはわからないがお墓を取り囲むようにして咲いていた。子ども心に「綺麗な花だなぁ~!」と思って、たくさん摘んで帰った。ユリの雄しべが服についたらとれないのもわかっていたがこぼれおちんばかり摘んでもって帰った「お母さん!綺麗なユリの花をいっぱい取ってきたぁ~!」私は褒めてもらえる!と思っていたが・・・叱られた。「お墓の花なんか摘んでこんと!」と、こっぴどく叱られた。涙がポロポロこぼれた。後で母が「折角、仏様が花をみて楽しんであるのにとってきたらさみしがられるやろ」と諭してくれた。その時は「そうだ」と思ったが今では・・?
叱られたけどそれもいい【思い出】である。今の子は叱られた経験(思い出)がないという。叱られる中にも親の愛情がいっぱい詰まっていたような気がする。怒って、喧嘩して、ごめんね、と謝って、いいよと許してあって・・そしてまた一緒に遊んで、そこでしていいこと、悪いことを学んでいったような気がする。これからもたくさんの思い出つくりをしていきたいと思う私である。