その日から44年の年月がたって今日の【美和台幼稚園】と私がある。たった3年の・・ましてや担任の経験しかなかった私。幼稚園の設立なんて何と厚かましいことか。よく右も左もわからない・・といわれるが私の場合は右・左ではなく、前も後ろも斜めも上も下も・・全部がわからなかった。振り返れば反省の日々だった。その44年の年月の中で、我が人生において一番の後悔、悔いがまだ心の奥深くに残っている。それは・・当園で出会った【全盲の子】のことである。
初めて全盲の子を預かる・・ということで不安、心配もあったが、毎日この子と触れ合い、お喋りをする中でその不安、心配が吹っ飛んでしまった。
この子の事については何十時間と話しても時間が足りないことばかりなので
今回は私の中に未だに消えない後悔の念の事を話したい。一泊二日の「キャンプ」について保護者と話をした時だった。私は胸を張って「大丈夫よ。しっかりと預かるからね」と自信たっぷりの言葉が私を打ち砕くことになった。全盲、そして儀眼・・最初からわかっていたことであるが、夜、寝る時に儀眼を取り出して、朝、その儀眼を綺麗に洗って元に戻してあげる・・ここを知らなかった私。「お母さんに出来て私に出来ないことはない!」と思ったが・・無理だった。儀眼を取り出すことが怖くて出来なかった。手が震え【心】が震えて出来なかった。