さて、その後の訓練に話を戻そう。訓練を任されて犬と一生懸命に向き合う少年。大体48日間ぐらいで約20種類位のしつけが求めらる。我が家の愛犬も「待て、伏せ、ついて(飼い主の傍にピタリとつくこと)その他のしつけ」に奮闘したものだ。それらを身につけさせるには、根気強く、根気強く続けていかねばならない。非行に走った少年にとって【根気強く】というのは何よりも難しいことだそうだ。
それでも【根気強く・根気強く】訓練をしていく。やがて、少年と犬の間に少しずつ、少しずつ信頼関係が生まれてきた。【心】が通じ合うようになってきた。すると少年の【心】に変化がみられるようになってきた。
「学校へ行きたい」「大学へ行くにはどうしたらいいか」「訓練士になりたい」
「トリマーになりたい」という【夢】が湧いてきたのだ。犬と向き合ううちに、「犬が自分を待ってくれてる」「犬が自分を必要としてくれている」今だかつて経験したことがない「達成感」「充実感」「責任感」が沸々とわいてきたのである。罪を犯して少年院に収院されて行き場がなかった少年を犬が救ったのである。誰かに必要とされる喜び、誰かの役に立ちたいという思いが犬の訓練を通して叶ったのである。確実に【夢】を叶えるにはまだまだ沢山のハードルを越えねばならないと思う。社会に負けずに自分に負けずに犬との間に生まれた絆を心の支えとしてこれからも頑張って欲しい!とテレビに向かって祈らずにはいられなかった。頑張れ~!テレビの中の君。