Vol.027
2005.02.05 Up

。。・・。。一 枚 の は が き。。・・。。

 両親がまだ元気だった頃・・・親孝行の真似事でよく温泉に行った。
車の中でもおしゃべりをして、旅館についてもおしゃべりをして・・・
一緒にいれば、ず〜とおしゃべりにはながさいた。

でも、母親と一緒にお風呂に入って背中を流していると、今までのおしゃべりが一変して急に無口になった。涙がこみ上げてきた。
小さくなった母の背中に、しがみついて泣きたくなるほどの嗚咽に襲われた。
それでも母は何も言わずに「温泉は気持ちいいねぇ〜」と、おしゃべりを続ける。「夕飯は何だろう・・楽しみだねぇ〜」と淡々と語る。
それが余計に私の心に響いてくる。

 私の中の母は、毎日、毎日良く働いた。その中で着物の着付けの資格・・
それも博士号の資格まで取得した。そして三味線、民謡・・趣味を生かして
人生を謳歌していた・・今の病気を背負うまでは・・・
私には憧れの母でもあった。
病気を背負ってからは、遠くに連れて出ることは少なくなった。
「それでもぶどう狩りには行けるねぇ」と喜んでいる。

そんな私の手元に一枚のはがきが届いた。最後に両親と一緒に泊まった宿からだった。
内容は・・・どうぞ、またご両親様とご一緒にお出かけくださいませ・・・
たった一枚のはがきだったが、両親との旅の思い出がぱ〜と広がった。
おしゃべりをしたこと、泣きたくなったこと、料理の美味しかったこと、
父の威厳さ・・・
たった【一枚のはがき】だったが、暖かくなったらもう一度、両親を連れて行こう!そして、おしゃべりをいっぱいして、美味しい料理を食べて、今度は
家族風呂に入って、父の背中も流そう・・・この思いにかられている。
両親の病気で連れて出ることをためらっていたが・・・今ならまだ連れて出ることが出来る!今なら出来る!

一枚のはがき・・私にもう一度、親孝行の真似事を勧めてくれる一枚のはがき。
幼稚園でも同じことが言えないだろうか。
園を見学に来てくださった親御さんにお礼のはがきをだす。
今までもそうだが、これからも続けていきたいと思う。