前回のページで「心」がすくすく育ち「知能」がぐんぐんのびていく母乳語・離乳語のことを書きましたが、今回はそれから少し離れて当園の卒園生のこと、子供の育ちの「芽」のことを書きたいと思います。
昨日(H・16年1月18日)広島で全国都道府県代表「ひろしま男子駅伝大会」が広島で行われ、その様子がNHKで放送されました。
この大会には都道府県の代表の選手・中・高校生・成人のメンバー7名で結成され、1本のたすきリレーでもって全7区間を走るものです。今年で9回目を迎えたそうです。
その中で福岡県代表チームの中に、福岡県の中学校を代表して選ばれた選手に当園の卒園生の顔がありました。
走る出番を待っているところがテレビに映し出されるたびに「ちょっと緊張してるかなぁー」と心配もしましたが、5区の高校生の先輩から受けた「たすき」をしっかりと肩にかけて、きりり!と前を見据えて走る姿に、私は目頭が熱くなり涙で画面が見えなくなりました。
テレビに向って「T君、頑張〜れ!ガンバレー!頑張〜れ!」と叫んでいました。
中学生だから3000メートル・3kの区間を走るのですが3位で受けた「たすき」を見事2位と順番をあげてアンカーに「たすき」を託しました。
走り終わってホッとしましたがそれでも止め処もなく流れる涙・・涙・・
T君の幼稚園時代のことが次から次へよみがえってきては、また涙!でした。
小学校を卒業するときも幼稚園に「先生、卒業しました」って報告に来てくれたり、中学入学のときも「制服を見せにきた」と来てくれたり、昨年の夏は福岡代表で「北海道大会にでます」と報告に来てくれたり・・・
このT君のことは何度となく幼稚園でも保護者の皆様たちに話してきました。
3年保育で入園しましたが1学期の間、1回も保育室に入らなかった子です。
外遊びが好きで幼稚園に来たらカバンを置いて、そのまま外でずーと遊んでいました。それも生き生きと楽しそうに!
部屋に入るのは給食のときだけです。
給食も部屋で食べるのが嫌なときは外で私と食べました。前の公園で食べたり、すべり台の上で食べたりしました。
担任が部屋に連れ戻してもすぐ外に出て行きます。
私はその子のお母さんに電話を入れて
「Tくんは外遊びが好きだから思いっきり外で遊ばせてみましょう」とお話をしました。
お母さんは「外ばかりで遊んでいたら他のお子さんと差がつくのではないでしょうか・・」と心配されましたが・・!大丈夫!でした。
夏休みが明けて2学期が始まったとき・・・
私はまた外遊びが始まるのかなぁーと思っていました。でも!私の思いを覆して、始園式の時に遊戯室に並んで入場してきたのです。ニコニコ笑いながらです。担任も私もビックリでした。
「Tくん、お外は?」
「もういっぱい遊んだ」Tくんのことば・・と言うより「心」だったのかも知れません。
担任も「園長先生が思いきっり遊ばせてみよう・・と言われたときは正直言って私たちは心配でした」とそのときの心境を話してくれました。
あのとき無理やり部屋の中に入れていたら今日のTくんはいただろうか・・と思います。
その後も何人かの子供たちが部屋に入るのを嫌がりました。1日中、バスの中で過ごす子もいました。
バスの中で絵を描いたり、プラポン、粘土をしたり・・前の公園でぶらんこにずーと乗っていたり・・・ぶらんこが自分でこげないので私に背中を押して!
と言ったり・・
でもそれらは本人にとっても、担任にとっても、私にとってもいい思い出です。懐かしく思い出がよみがえります。楽しいです。嬉しいです。幸せです。
私はいつも「何でも経験」と思って美和台幼稚園と共に歩いてきました。
そうです。何でも経験なのです。いくら頭の中で水泳の練習をしていても実際に水の中に入ってみないとわかりません。
T君は思いっきり外遊びを楽しんだので、それからは友達や部屋の中の出来事により以上に興味・関心を示すようになりました。何事にも積極的に物事に取り組むことが出来るようになっていました。担任と友達の輪も広がっていきました。
私が「外に遊びに行くよ」と誘ってもしらんぷり。でも担任が「公園に遊びに行くよ」というと喜んで行ってました。
T君とは3年間一緒に過ごしてきましたが思うことは「あの時、思い切って外でい〜っぱい遊ばせてよかった」ということです。
無理やりに部屋に入れていたらT君の【芽】を摘んでいたかも知れません。
T君にいい経験をさせてもらったなぁーと思っています【感謝】です。
これからも目先のことだけにこだわらず先のことも視野に入れて子供たちと共に、美和台幼稚園と共に、先生たちと共に、そして保護者の皆様と共に歩いていきたいと思っています。
子供たちが持っている可能性を大切にして!
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